センター長の挨拶

“日本の医学教育の向上と、開発途上国への
    医学教育の国際協力が当センターの使命です”

センター長 山岨達也

 IRCMEは、東京大学の全学センター組織の一つとして2000年に発足致しました。初代は加我君孝センター長、二代目が山本一彦センター長で、2017年度より私がセンター長を務めさせて頂いております。
私は2004年から教務委員として医学部の教育に関与し、2007年4月教授就任後、国際交流室室長として国際協力に関与しました。2011年から6年間医学部附属病院総合研修センター長となり、研修医の教育と指導体制に関する問題の解決に取り組んできました。2015年からは医学部の臨床実習・教育支援室室長となり、医学生の教育に関わっています。

当センターの活動

 本センターは、東京大学医学部さらに我が国全体の医学教育の向上と、主として発展途上国への医学教育のシステム導入の国際協力という2つのミッションを担うべく、学内外の多くの組織、教員、研究員、事務員の方々とネットワークを形成しながら活動を続けております。

医学教育現場の問題点

 我が国の医学教育において、優れた臨床医育成に向けた教育を行う必要性はもちろんですが、生命科学の急速な発展とそれを受けた臨床への架け橋研究の推進などを受け、研究に従事する医学部卒業生を育てる必要性にも直面しております。それぞれの医学部、医科大学の建学の理念により、これら2つに対する重みづけが異なっているのは当然です。すなわち、先行している欧米の医学教育を単に導入するだけではなく、我が国、そしてそれぞれの医学部に適したシステムに作り上げていくことが必要でありますが、これは簡単ではありません。一方、一般の臨床医が少ない発展途上国に対して、効率よく優れた臨床医を教育するシステムを導入する国際協力も当センターの重要なミッションです。
本学医学部の教育は変わりつつあり、医学教育法も知識伝授型から問題解決型に、臨床実習は見学型から参加型に移行してきています。内容も医学生物学の知識を教える従来型教育だけでなく、患者の行動、意識、患者を取り巻く社会環境にも目を向けた全人的教育に変わってきています。医学に関する知識・情報のdoubling timeは1950年時点に50年であったものが、2010年には3.5年になり、2020年には73日になると予想されています。このような状況では知識を単に覚える意義は減り、多くの情報から必要で誤りのない情報を選択する能力や深く考える能力が要求されます。コンピューターなどを駆使した教育技法を含め、先を見据えた新しい教育の確立が急務であり、問題解決型教育をさらに充実する必要もあると考えます。
医学部だけではなく本センターの立場からも微力ながら貢献していきたいと思っておりますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

皆様へ

 センターの限られた人的資源で今後とも有意義な活動を展開するためには、今まで以上に学内外の方々との連携が必要となります。当センターの活動に暖かいご理解をいただければ幸いです。また、将来の医学教育を担う人材の育成も重要です。医学教育が若い医師進むべき一つの進路として魅力的なものなるよう益々努力しなければならないと考えております。興味をもつ若い方の更なる参加を期待致します。